2015年度理事長所信

第29回理事長 木村直樹

 

はじめに

 「幸せだから笑うのではない、笑うから幸せになるのだ」
幸せをどこかに探しに行っても、そんなものは見つからないなぜなら、幸せは自分で作るものだから
自分の意志の力で幸せを作らない限り、幸せにはなれない※1
 
楽しいことや幸せなことがあるから笑うのではなく、楽しいことを見つけ笑うからこそ幸せを感じるのだと考えます。そして、笑顔には人の心を変え、人を動かす力があります。
笑顔は人にポジティブな変革をもたらし、一人の笑顔は周りを笑顔にします。まちに笑顔が溢れることは、そこに住む人を明るく前向きにし、その意識はまちを活性化させ社会に対してポジティブな変化を巻き起こし、明るい豊かな社会へと導くことになります。

 

花巻を楽しくし笑顔溢れるまちを創るために

JAYCEEが「イノベーション」を起こす

花巻青年会議所は58年の歴史があり、多くの先輩がその時代の先頭に立ち「明るい豊かな社会の実現」という創始の願いを達成するために運動を行ってきました。青年会議所は毎年リーダーが変わり、40歳を迎えると卒業しなくてはなりません。人や時代が変わりながら、花巻青年会議所の運動は連綿と続いています。それは「誇りあるまち花巻の創造」を運動の理念に掲げ、志や想いを受継ぎ、時代背景によって事業の内容を変化させながら、その時代に必要な運動を行なうことにより、この地域に新たな価値を創造してきたからだと考えます。本年度は、花巻を楽しくするために、今までの花巻青年会議所が培ってきた志や想いを受継ぎながら、まちの歴史文化や今まで行ってきた事業の実績を過去に学び、我々の経験や考え、現在の文化を組合せることで、新たな価値を創造し、地域社会に変革を起こす「イノベーション」を会員一人ひとりが実践し、笑顔溢れる「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

まちの誇り創造について

 花巻市は城下町としてまちづくりが始まり、このまちで様々なことが起こり、発展や停滞などを繰り返し、現在の花巻になりました。今から約160年前、世情の安定しない幕末、松川滋安という花巻城の御給人が「揆奮場」を建設しました。彼は、旧弊を改革するには進んで旧弊を改善していく学識と気力のある人間の育成をしなくてはならないという思いから、多くの花巻御給人が勉学や武道に励むことができる場として「揆奮場」を造りました。「揆奮場」創設の考えは、「まちづくりはひとづくり」人を育てることが未来のまちの繁栄につながるという、現代のまちづくりの考え方に通じるものでした。「揆奮場」からは、後に北海道帝国大学総長(現:北海道大学)を務めた佐藤昌介も輩出しており、宮沢賢治は佐藤昌介と農学校を通じて親交があり影響を受けていました。私は1世紀半も前にこの花巻で「まちづくりはひとづくり」という考えを持ち、まちに必要な人財育成に尽力し、その人財がその後の花巻に様々な影響を与えている事実に花巻に住むものとして誇りを感じました。花巻青年会議所は、2010年代運動指針の理念である「誇りあるまち花巻の創造」を掲げ、「明るい豊かな社会」を実現すべく多くの汗を流し様々な運動を行ってきました。2010年代運動指針を追及していく際に、自分たちの住んでいるまちで起こったことを学び花巻を知ることは、地域へ愛着や郷土愛となり、まちへの誇りに繋がると考えます。現代においてまちづくりを行っている団体として、過去の歴史や文化にまちづくりを学び「イノベーション」を起こし、花巻の歴史を通して、新たなまちづくりの価値を創造して行きます。そして、市民に花巻の歴史を知ってもらう機会をつくり、花巻で起こった事柄や人物、文化を学び、郷土愛が育まれることにより花巻への誇りを感じてもらい、笑顔溢れる「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

 

地域連携による花巻の活性化について

平成の大合併において、花巻市、大迫町、石鳥谷町、東和町が新設合併し現在の花巻市になりました。花巻青年会議所は合併する前に、合併に向けたシンポジウムを開催し、合併から5年後に効果検証会を開催しました。そこで行ったアンケートによると「旧4市町の一体感はなかなか感じられない」「旧花巻市、旧石鳥谷町等、旧がいつまでも外れない」「花火や祭りなども各地域がそれぞれ行っており合併前と変わらない」等の意見がありました。意見からも分かるように各地域がそれぞれ特徴を活かしながら発展しているものの、前のまちの名残が拭えず、一つのまちなのに未だに距離があるように感じられます。この距離を埋めるためには、地域間の連携を深めていくことが重要だと考えます。そのために各地域の団体と我々が連携し、地域の特徴を活かしながら、一つのまちとして一体感が感じられる事業を行います。その事業を通して、それぞれの地域の良さを理解し合い、また、足りない部分は補うことで、相乗効果を生み花巻市の活性化に繋げて行きます。各地域特有の資源を活かし、花巻として一体感が感じられる事業を通して花
巻に「イノベーション」を起こし、笑顔溢れる「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

 

青少年育成事業と復興支援事業について

昨年の学習支援事業に参加して頂いた県外からの大学生の多くは「全国てらこやネットワーク」に所属しており、県内の学生にも前向きな影響を与えました。参加した県内の大学生は「自分たちも世の中に役に立つ活動がしたい」など、熱い想いを秘めておりました。てらこやは近い将来に社会に出る大学生にとって社会性や自立性を育める場です。また、柔軟な発想力を持った大学生は、我々にも刺激を与え、お互いに良い影響を与えます。次代を担う若者の熱い想いを形にしていくために、大学生主導型の花巻版てらこやを大学生と共に検討し設立を促して行きます。
そして、組織化された大学生と学習支援事業を協働で行い、復興支援事業である学習支援を通して大学生の社会性や自立性を育成して行きます。
東日本大震災、発災後間もなく花巻青年会議所は復興支援事業を始めました。被災地へ人的支援、物的支援を行い、翌年には釜石青年会議所、遠野青年会議所と合同で、各地の児童に参加してもらい各地域の児童の交流を図りながら被災児童の心のケアを目的とした青少年キャンプを行い、その翌年には児童だけでなくその親にも参加して頂き、地域を超えた家族の絆を深めるキャンプを行いました。そして、昨年は青少年キャンプを行いながら、新しい試みとして沿岸被災地の児童に県内外の大学生が勉強を教える合宿を行い学習支援という形で復興支援事業を行いました。児童、大学生、青年会議所の三世代による事業は互いの交流を通してそれぞれの学びがありました。児童は学習を通じて大学生への憧れから将来への夢や希望を抱き、大学生は児童に教えることで被災地への支援を行うのと同時に、この体験から社会学習を行い社会人になる準備を行っていました。そして、我々は大学生、児童が事業を通して成長していく姿からこの事業の大切さを知りました。この支援は、一過性ではなく継続して行っていくことが重要であると考えます。復興支援事業として釜石青年会議所と連携し、沿岸被災地の青少年に夢や希望を与え将来にわたる笑顔創造のため、大学生と協働した学習支援事業を行います。
組織化された大学生と事業を行なうことで「イノベーション」を起こし、社会性や自立性を育み青少年育成事業の新たな価値を創造し「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。そして、新しく組織化された大学生と協働し復興支援事業を行ない未来の担い手を育成し、笑顔溢れる人財を創ることによって被災地の復興に寄与して行きます。

 

わんこそば全日本大会とイーハトーブフォーラム花火大会について

わんこそばは、歴史も古く起源は慶長時代にまでさかのぼり南部利直公をおもてなしする際に振る舞われたと言われており、おもてなしの心から生まれた花巻の名物であり文化です。本年度で57回目の「わんこそば全日本大会」は、我々が企画運営を行うようになってから3年目を迎えます。全国各地から参加者があると共に、会場には子どもからお年寄りまで来場し、歓声や笑い声が飛び交うとても活気あふれる大会です。また、その大会を運営するにあたって、多くの市民ボランティアや各関係団体や市内の高校生等、言わば自分のためだけではなく社会に貢献する意識を持ち行動していく「自立」した「志民※2」の支えがあり成立っている大会です。「わんこそば全日本大会」は、全国から花巻にお越し下さる方をはじめとする多くの参加者、来場者の方をお迎えし楽しんで思い出を持ち帰ってもらう、おもてなしの場だと考えます。また、「わんこそば全日本大会」は花巻にとって大事な観光資源であり、全国に花巻を発信できるこの大会の可能性は限りないと考えます。この可能性を模索して今までの経験やわんこそばの歴史をもとに
「イノベーション」を起こし、花巻のおもてなしの心を発信することで「わんこそば全日本大会」に新たな価値を創造して行きます。大会運営をするようになり7回目の「イーハトーブフォーラム花火大会」では、我々のノウハウも蓄積されイーハトーブフォーラム実行委員会での役割が定着してきました。実行委員会の構成員、市民ボランティアや各種団体と綿密な計画と連携を図り、安全に市民の皆様に楽しんで頂ける大会運営を行います。
 今までの歴史に学び、経験を活かし、多くの市民が来場し楽しんで頂けるような、おもてなしの心で運営を行い、各大会に社会貢献するという意識を持ったボランティアや学生等多くの市民に集まってもらい「自立」した「志民」を増やし、笑顔溢れる「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

 

会員開発と会員拡大について

会員の開発について、2010年代運動指針には「JAYCEEが人間力を高め、周囲の人たちに良い影響を与えられるリーダーとなるという気概を持って、「自立」した「志民」たらんと努力して行きます」とあります。まず我々がリーダーとしての人間力を高め、「自立」した「志民」へとならなくては、運動を発信しても説得力がありません。私は花巻青年会議所に入会してから事業経験を通して、様々な会員と出会い真剣に議論し積極的に行動し、互いに切磋琢磨することで多くのことを学ばせて頂き、自己成長の原動力となりました。素晴らしい出会いは、リーダーとしての人間力を高め、自分の意識を変革し、その高い意識は周りへ伝播して行きます。会員が地域のリーダーとして人間力を高めるために、自己の意識変革を起こす出会いを図り、自分自身に「イノベーション」を起こし新たな価値を創造し「自立」した「志民」となり、地域へ伝播していくことで「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。
会員拡大について、2008年に前人未到の30名の会員拡大に成功しました。その年の日本青年会議所褒章事業で優秀賞を獲得し、その部門で日本一になりました。それから昨年まで、年平均14名ほどの拡大を行ってきました。2008年度に会員拡大に対する意識変革があり、その意識が受け継がれているのと同時に、創立50周年に始まり、岩手ブロック会員大会主幹、東北青年フォーラム主幹、創立55周年と大きな目標を持ち、一致団結し運動を行ってきた想いを地域の市民に伝え、その結果として会員が増え続けているのだと考えます。その一方で、卒業制度のある青年会議所は、数年すると中核の会員はいなくなり会員拡大の意識が薄れる可能性があります。地域のために本気になって運動を行い、広く運動を発信していくためには危機感を常に持ち広く会員を求め、より地域に密着した青年会議所になって行かなくてはなりません。今までの会員拡大に対する高い意識を継承しながら、花巻青年会議所全体で会員拡大に取り組む意識を持ち、固定観念にとらわれない勧誘方法や入会候補者選定を行い、様々な視点と広い視野を持って会員拡大に「イノベーション」を起こし、一人でも多くの仲間を増やして青年会議所運動を広めていくことで「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

 

総務と広報渉外について

総務委員会は総務に関する職務と広報・渉外に関する職務を担当します。総務の職務としては、総会、例会の設営、賀詞交歓会、卒業式を担当し、毎年受け継がれてきた「式典の花巻」を踏襲しながら精度を高め、新しい技術や想いを入れ込み組織の要として活動します。広報の職務としては、昨年新しく作成したホームページを引継ぎ、今までの花巻青年会議所の歴史が分るように整備しながら、法令上必要な情報公開を行い、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を最大限に利用し、迅速かつ広域に情報を発信し運動の伝播に寄与して行きます。また、本年度は公益法人格の法令を管理する会議体や委員会を設けず、法務・会計担当という形で執行部の中に組織します。組織全体を把握している執行部と密に連携し、法令上必要な情報公開を適切に行います。また、渉外の職務として、岩手ブロック会員大会、東北地区会員大会、京都会議、サマーコンファレンス等各種大会へ参加しやすくする環境を作って行きます。本年度は「新・東北3つの夢」の最後の事業である全国会員大会が東北の地、青森県八戸市で開催されます。東北で開催される全国大会に出向者はもちろんのこと多くの会員で参加し、全国から集まる会員会議所会員との交流をすると共に、日本青年会議所の集大成である全国大会を肌で感じ自己啓発に役立ててもらいます。さらに、2011年度東北青年フォーラムでお世話になった、東北の各地青年会議所への感謝を含めてコミットして行きます。総務委員会が総務活動と広報・渉外活動を効率的に行い、今何をしなければならないのかを考え、花巻青年会議所の基礎となる運動を行うことで、組織の進化に繋げ「誇りあるまち花巻の創造」を目指します。

 

結びに

私の祖父は、イギリス海岸の近くで製材所を営んでおりました。建築資材や製函材を加工する製材所で、小さいころよく遊びに行っていました。物心ついたころには、製材所の事務所の片隅で父親が建築設計事務所を創めていました。父親は祖父の背中を見て同じ建築の業界の仕事を創めました。私も祖父と父親の背中を見て同じ建築の道を歩んでおります。2人がいたから今の私があり、このまちでこの仕事をさせて頂き、花巻青年会議所に出会うことができました。そして、花巻青年会議所に入会し、仕事だけでは出会うことのできない多くの出会いから様々な学びがあり、私自身ポジティブな考えを持つようになり、前向きに成長することができました。花巻青年会議所も多くの先輩方が、青年としての情熱をもって運動を行ってきた歴史があるからこそ、現在も青年会議所運動ができるのです。現役の花巻青年会議所会員が、そのことに感謝しながら「過去」に学び、「今」行動し、「未来」を考え、「イノベーション」を起こすことが「明るい豊かな社会」の実現に繋がると私は考えます。

 建築はもともと万人のものである
作者の強い個性を余り主張しすぎてはいけない
むしろ控え目に、風土と市民の演ずる舞台の引き立て役であるべきだ※3

 これは、ある建築家の言葉で「舞台に立つのは作者ではなく、社会に生き、そこで活動する人間そのものである」という考えです。花巻青年会議所も市民や地域のために、運動を行うことで、そこに住む人を笑顔にする引き立て役だと思います。花巻が楽しくなるように、我々自身が笑顔で運動を行い、花巻に笑顔が溢れるように、2015年度の運動を邁進して行きます。

第59代理事長 木村 直樹

※1 アラン(エーミル=オーギュスト・シャルティエ)氏の「幸福論」より引用
※2 志民:社会のために自ら何が出来るか考え、行動出来る市民
※3 建築家佐藤武夫氏の言葉を引用