2020年度 基本方針

スローガン

基本理念

誰一人取り残さない持続可能な「誇りあるまち花巻の創造」

基本方針

一、成熟した社会から持続可能な社会の実現

一、女性活躍加速のためのフェアネスの高い社会の構築

一、地域課題解決型のイノベーションから活気あふれる地域社会の実現

一、スポーツ振興で共生社会の実現

一、持続可能な未来に向けた2020年代運動指針の策定

一、地域を担う若者へのダイバーシティ教育の推進

一、先駆者たる人材の発掘・成長と発展の機会の提供

 

理事長所信

2020年度理事長 藤田 甲之助

はじめに

「人間は、自然との闘いに勝ったと思うその瞬間に、
自らが負けた側に立っていることに気付くだろう」

20世紀後半、この事実に人類が気付かされたのと同時に、社会面においても貧困を撲滅し、公平で公正な社会を実現しない限り、未来が危うくなることを強く感じる様になりました。時代が変化するにつれて、様々な組織が担ってきた役割、鍵となる利害関係者、そして操業原理は大きく変容してきています。

我々は現在、その進化の歴史における転換期に突入しており、公益社団法人格を有する団体として、社会的課題への革新的かつ主体的な役割が社会から求められていることを、当事者意識をもって強く認識しなければなりません。これは、ただ単に富を増やすことや、豊かな消費社会を実現するといった意味合いでの「社会課題」ではなく、この地球上での生命維持と、人類の将来的な発展や環境の改善を可能にするにあたって避けて通れない「社会課題」を解決していくことが重要なのであります。

経済の循環と、社会や自然環境の「トレード・オフ」を乗り越え、その双方が健全に発展できる「トレード・オン」の関係性を築くことが必要不可欠になってきており、言い換えれば「トレード・オン」とは経済と社会の共発展をも意味し、その共発展を可能にする運営や経営が、これからの進化における我々の「ネクスト・ステージ」であるのです。

時流を読む

1957年7月19日、花巻青年会議所は全国で128番目の青年会議所として設立され、明るい豊かな社会の実現に向けて我々の運動はスタートしました。そこから遡ること8年前の1949年、東京青年商工会議所が設立されました。

1952年に連合国から発行されたサンフランシスコ講和条約を日本が受諾し、日本の主権が回復される前の設立でありました。当時の青年たちは焼け野原から立ち上がり、祖国復興の夢を描き溢れ出る情熱から、大きな自己変革力をもとに、無から有を生むことに尽力されました。

その後は高度に機械化された産業経済へと社会構造そのものも大きく変貌を遂げ、高度経済成長に人口の増加と産業資本主義が大きな成功を成し遂げたのでありました。ただ皮肉なことに、目覚ましい発展の裏側には公害問題や地球温暖化、生態系の破壊、サプライチェーンにおける格差の問題等、新たな社会課題と環境問題が多発する様になりました。

これらの様々な問題は大小問わず現在も山積しており、積極的な課題解決型のイノベーションを我々が強力に推し進めることこそが持続可能な地域社会を実現させるのです。我々の特性や強みを生かした形で、いかにして持続可能な社会や持続可能な未来の実現に貢献するか。「サスティナビリティ・イノベーション」がこれからの時代には求められるのです。

 

社会グループ

【成熟した社会から持続可能な社会の実現】

2015年9月に国連サミットにて採択されたSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)を受けて、2019年1月には、日本青年会議所の総会にてSDGs推進宣言が全会一致で審議可決となりました。2030年までに「誰一人取り残さない」持続可能で、多様性と包摂性のある社会を実現するために、次世代への推進、達成に向けたプロジェクト等を協働で進めることを宣言したものであります。

本年はSDGsの推進をより加速させるために、変えるべきものを変えチャレンジする勇気と、変えてはならないものを受け入れる情熱、変えるべきところと残すべきところを分別する英知をもって、行動力を発揮しなければなりません。すでに、世界中の企業がSDGsを経営戦略の中に取り込むことで、財務情報だけでなく企業の環境・社会・ガバナンスに関する取り組みも考慮し、世界の3分の1を占めるESG投資を呼び込もうと力を入れています。SDGsを企業の経営戦略に盛り込むことが、必然となる日も近いでしょう。

その他にも、政府が主導し産学官連携で実現を目指すSociety 5.0によって、近い将来には地方においても情報化社会を進化させた「超スマート社会」が訪れます。我々の運動とともに会員企業が取り組む経済活動を通じて、社会課題を解決することが、これからの時代において持続可能な社会を創造する起点になると確信しています。

 

【女性活躍加速のためのフェアネスの高い社会の構築】

近年、国や地方自治体においては保育の受け皿整備の加速化、企業における労働環境の改善に向けた働きかけ等の取り組みを進めており、一定の前進はみられております。一方で、社会・経済・生活の様々な領域において、いまだ男性の方が優遇されていると感じている国民が多く、まだまだ男性社会が根強く残っているのも事実です。その結果、女性が抱える様々な困難が、解決すべき課題として認識されていなかったり、課題として認識されていてもその課題を解消するための取り組みが不十分であったりする現状があります。

例えば、妊娠や出産、子供が独立した後といった各ライフステージでの女性特有の健康上の課題、男女間の不合理な賃金格差、ひとり親女性が抱える困難等、女性が直面している様々な課題がいまだに解決されずに存続しています。これらは女性活躍以前の課題であり、女性活躍の場の拡大をさらに推進するためには、こうした残された課題の解消にいままさに取り組むべきであります。

また、女性活躍の場の拡大が、生産性向上・経済成長の重要な柱の一つであることは紛れもない事実であります。女性活躍の場が広がることで、多様性を生み、付加価値を生み出す原動力になるという認識を持つことが必要不可欠であります。さらに、男女ともに健康の確保のみならず自己投資の時間の確保にもつながり、こうした取り組みを進めることにより、女性が直面している様々な困難等の課題の解消、「フェアネスの高い社会」の構築につながり、女性の能力を最大限に発揮できる、多様性ある社会が実現されるのです。

 

地域グループ

【地域課題解決型のイノベーションから活気あふれる地域社会の実現】

人口減少や少子高齢化が進行する中で、地域が成長を続けるとともに、活気あふれる地域を創造するためには、女性、高齢者、障がい者、外国人等、誰もが居場所と役割を持ち活躍できる地域社会を実現することが重要であります。すなわち、一人ひとりの個性と多様性が尊重され、それぞれの希望が叶い、それぞれの能力が発揮できて、それぞれが生きがいを感じながら暮らすことのできる地域社会の実現が求められています。

こうした地域社会を実現するためには、共助、互助の考え方も踏まえ、様々な人々や団体と交流しながら、つながりを持って支え合うことが重要であり、そのためには地域経営の視点を持ち、地域の経済社会構造の全体を俯瞰して、地域マネージメントという観点から花巻を代表する様々な事業に取り組んでいく必要があります。また、持続可能な地域の活性化に向けて、国内外を問わず多くの来訪者を導き、交流人口の増加や経済の循環を促進することが重要であります。花巻独自の魅力や文化が対外的に広がってこそ、その価値が認識され、交流人口が増加し、地域の活性化につながり、誇りあるまち花巻が創造されるのです。

【スポーツ振興で共生社会の実現】

日本全体では2020年オリンピック・パラリンピックの開催もあり、幼児から年配の方までスポーツに対する機運が高まっています。2011年に制定されたスポーツ基本法においてスポーツは世界共通の人類の文化であり、国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠なものであるとともに、スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利であるとされています。

そして、スポーツは青少年の健全育成や、地域社会の再生、心身の健康の保持促進、社会・経済の活力の創造、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化等、寛容性と尊厳を促進することにより、私たちの生活において包括的で多岐にわたる役割を果たすものとされています。

「する」「観る」「支える」等、スポーツに関わる全ての人々が、スポーツを通じてその価値を学び、具体化・共有することにより、社会を変える重要な媒体となり得るものであり、周囲の人々の意識変革が成されることでスポーツを通じた社会の発展や変革が起こり、スポーツ振興を通して共生社会が実現されるのです。

【持続可能な未来に向けた2020年代運動指針の策定】

2019年は一つの時代が幕を閉じ、新たな時代が始まりました。戦後間もない頃の日本は、全てのモノが不足し、環境も整っておらず、社会も形成されていない、そして激しいインフレに見舞われながらも、逞しく成長し10年ほどで戦前の経済規模にまで日本は回復しました。

一方で、時代は大きく変化をし始めています。サステナビリティやボランタリー経済といった道徳的な価値を重んじる考え方が社会の中で大きな地位を占め始めています。また、ITを媒介として新たな共有経済が生まれ始めており、高度情報化と人工知能の台頭により、従来評価されてきた能力や仕事や無形資産が価値を持たなくなりつつあります。

そして、人間的な能力の必要性が高まり、文化や芸術等の価値が上がり、新たな価値が生まれ始めています。さらに、国籍や地域や性別や年齢等による垣根が低くなり、社会の多様性が拡大しています。また、人工知能や遺伝子工学等の新技術は、生活をより豊かで好ましいものにする一方で、社会に深刻な事態をもたらす可能性があります。充実した社会資本を活かし、このような変化を捉えて社会をより良くできれば、花巻の未来は必ず明るくなるのです。そのとき、青年は誰よりも率先して変化を捉えて行動しなければなりません。

未来の社会変化を見据え、時流を読み、より時代に沿った運動を推進していくためには、10年という長期間の見通しを立て、5年毎に我々の活動や運動を見直し、我々の基軸となる新たな運動指針を改訂していくことが、持続可能な組織へ進化するものと確信します。

 

青少年グループ

【地域を担う青少年へのダイバーシティ教育の推進】

2017年に花巻市と青少年育成事業の連携協定を締結してから3年が経過し、新たな未来を切り拓くためには、若者の育成の取り組みを強力に進めることが、私たちの未来を見据えた上で必要不可欠であります。

また、選挙権年齢や民法上の成年年齢の引下げもあり、高等教育段階では将来の人生の選択を考える重要な時期になっていることから、将来の地域を支える人材を育成する上では、文章や情報を正確に読み解き、対話する力等の基盤的な力を確実に身に付ける必要があるとともに、高等教育段階で地域を知り、愛着を持つ機会を創出することが重要であります。

このため、社会進出する前段での多角的な学習の幅の拡大、学習機会の確保による教育の質の向上を図るとともに、高等教育における地域課題の解決等を通じた学びから、時代の変化を捉えて社会を変容するための行動を起こせる人材が求められております。また、我々はいままで以上に行政や高等教育機関とのパートナーシップを強固なものとし、地域の若者が新しい時代に必要な能力を身につける場と、自らの学びを得る機会の創出が、未来の地域社会の形成において求められております。

社会の多様性が増し、歴史、身体的条件、価値観、経済社会状況等の多様な背景を有する他者とともに学ぶことによって、その多様性を理解し敬意を育むダイバーシティ教育の実践的な場を作り上げることこそが、誰一人取り残さない夢と希望あふれる地域の創造へとつながるのです。

 

会員開発グループ

【先駆者たる人材の発掘・成長と発展の機会の提供】

この10年で人々の社会的価値観は大きく変化しています。その中で、会員を受け入れる我々の組織体制や運営は変化してきているのでしょうか。全員が挑戦する社会で最も積極的に挑戦して成長を遂げ、社会を動かす力を持つのは青年であるべきであると考えます。

我々は生まれ育った地域の好循環を生むために、より多くの仲間を作るべく活動を行った結果、昨年度は数年来かけて目標としていた100人LOMという目標を達成しました。その一方で、3名中1名以上の会員が入会2年未満となり、組織的な会員の資質の向上や運営の変革は急務であります。また、日本は男女格差が大きいジェンダー後進国でありますが、我々の組織においても、女性会員の拡大は必須であり、様々な観点で青年自らの意思と選択によって活躍できる、多様性ある組織へと進化していかなければなりません。

地域における人口減少は地域経済の縮小のみならず地域の成長をも妨げます。青年に成長と発展の機会を提供し、社会で活躍できる人材を輩出する組織であり続けるためにも、地域の形成に主体性を持って参画し、時流を先読みした先駆者たる青年が、地域に向けて草の根の運動を続けることこそ、組織への信頼獲得と会員の拡大につながります。我々は、志高く広いつながりを持って、機動的に行動できる強固な組織へと進化する必要があるのです。

 

終わりに

「命のリレー:いまを生きている私たちに、世代を超えた責任がある」私たちは限られた地球資源の中で生かされているのです。平均寿命が80歳の現代において自分の命や心は、親から子、子から孫へと大切に受け継がれてきました。

私たちも同じように引き継いでいく使命があり、祖父の代から孫の代まで、地球誕生からの時間軸でみると約200年という短い期間に生かされているのです。50年前の当たり前は、現在の当たり前ではない。現在の当たり前は、10年後には当たり前ではない。そんな時代に突入しています。

時代がナショナリズムとグローバリズムを激しく往来する情勢の中で、我々がいまを生き、地域を牽引する責任ある世代として、紡いできて頂いた過去へはしっかりと感謝をし、私たちの子孫には大きな苦しみに直面しないようにするためにも、我々はいままでの活動や運動を大きく超えていく必要があるのです。

そして、私たちに問われているのは、単なるビジュアルデザインではなく、それを超えた「未来の明るいデザイン」が問われているのです。後世に恥じることのない社会と地域を継承するためにも、各々が本当の豊かさや幸せを追求する心を持ち合わせ、自分自身や家族、会社や地域の明るい未来を描き、誰一人取り残さない持続可能な「明るい豊かな社会の実現」へ向けて、1年間運動を展開していきます。