スローガン
基本理念
地域への想いと行動による「誇りあるまち花巻の創造」
基本方針
一、学び行動し続ける姿勢を持った経済人の育成
一、効果的な魅力の発信による関係人口の増加がもたらすまちの活性化
一、郷土愛の醸成による将来の地域の担い手となる青少年育成
一、歴史と伝統、文化を大切にする持続可能なまちの創造
一、スポーツによる、心身ともに健康な人財溢れるまちの創造
一、積極的、能動的な行動が会員の成長につながる会員開発
一、新たな出会いと共感が組織を活性化する会員拡大
■2025年度 理事長所信
今この国では、歴史的な円安が進み、各地紛争による世界情勢の不安が金融・経済に影響を与え、社会面や環境面においても、人口減少や都市部への人口集中、温暖化や自然災害の被害の甚大化など多くの問題を抱えています。
私たちの暮らす地域においても、人口減少による経済規模の縮小や担い手不足など、地方ならではの多くの課題を抱えています。これらの課題は、どれも私たちの力だけですぐに解決できるわけではありません。即効性のある特効薬も残念ながらありません。
それでも私たちは、この地域に住み暮らす者として、後輩や子供たちの世代も安心して暮らしていけるよう、地域のより良い未来のために行動していく必要があるのではないでしょうか。
私自身、花巻市は大迫町に生まれ、小さい頃から友達と川や田んぼといった自然のなかで遊び、下校途中には近所のおばちゃんからリンゴをもらってかじりながら帰る。祭りの時には、近所のおじちゃんに怒られながらも必死に太鼓を練習する。今思えば、小さい頃から自然や文化、地域の人々に囲まれて育ってきました。
社会人になり東京に出てからも帰省する度に、地元の友達と楽しく騒ぎ、当時怒られていた近所のおじちゃんやおばちゃんに「おっきくなったなぁ」と声をかけられ、時間は経っているのにどこか変わらない温かいものをいつも感じていました。
29歳で帰郷し、日常生活や地域の行事に参加していくなかで、「この地域がいつまでも明るく温かい場所であってほしい」と地域に対する想いは強くなり、そのために私自身も何か行動していきたいと考えるようになりました。
確かに、私たちが暮らすこの地域には様々な問題や課題が存在し、それに対して一人でできることは限られています。
でも、誰かと一緒なら、より大きな行動を起こすことができる。
誰かと一緒なら、助け合い、続けることができる。
私たちが属する青年会議所は、同じ想いを持った仲間が集い、地域の現状や課題と向き合い、様々な角度から検討を重ね、時代に即した運動を展開する組織として、日々、行動し続けています。
何も変わらないと嘆くのではなく、地域を想い、今、自分たちにできることを真剣に、少し背伸びをして、多くの人を巻き込み、一歩でも前に進む。この一つひとつの積極的な行動が、人々の意識を変え、行動を変え、地域のより良い未来につながると信じています。
~一人ひとりの学び続ける姿勢が活気ある地域の未来につながる~
私たちは、小学生のころから義務教育の下、多くのことを一定水準まで学んできました。それが高校、専門学校、大学と進むなかで、より専門的な知識を学び習得していきます。しかし、社会人になり仕事の専門分野はともかく、それ以外の事柄については、仕事に追われる日々のなかで、調べることはあっても、向き合い、学ぶ時間は圧倒的に少なくなっています。
IT技術の進化や様々な規制改革、長寿命化や社会保障に関する問題など、私たちを取り巻く環境は常に変化し、そのスピードも速く、先行きも見えづらい、今までの経験や知識だけでは活躍し続けるのは困難な時代となっています。
この地域においても少子高齢化や人口減少が進むなかで、地域の担い手である私たち一人ひとりに期待される役割は確実に大きくなっていきます。時代の潮流を意識した学びを、会社や地域、普段の生活から行動に移していく。知らないことや壁にぶつかったときには、学び直し、また行動する。この学び行動し続ける姿勢を持った人財の育成が、地域の活性化や様々な課題解決に重要な役割を果たすことは間違いありません。
今こそ、私たち一人ひとりが、将来を見据え自ら積極的に学び、時代に即した感覚を備えた人財へと成長していくことが重要です。知識と感覚を兼ね備えた人財の、会社や地域で起こす自発的な行動が、活気溢れる地域経済の発展につながります。
~効果的な魅力の発信による関係人口の増加がもたらす地域の活性化~
私たちが住み暮らすこの地域は、食・自然・祭事など多くの観光資源を有し、私たちもその恩恵を日々の暮らしのなかで享受しています。しかし、市内外問わず、まだまだ知られていない、もっと評価されるべき魅力がこの花巻には数多く存在し、多くの可能性を秘めています。今後、少子高齢化が進むことが予測されるこの地域では、地域の魅力の最大限の活用と、魅力に共感する関係人口の増加は、地域経済の縮小を食い止め、持続可能な地域として存続していくために、必須条件であると考えます。
幸い、私たちの地域には交流人口を直接増やすための交通インフラは整備されており、現代はインターネットやSNSといった地域の魅力を外部に簡単に発信できるツールも整っている時代です。今こそ自分たちの地域の魅力を再認識し、効果的な発信による国内外からの観光客をはじめとした交流人口の増加、興味を持って、知ってもらい、好きになってもらうことから生まれる関係人口の増加に注力する時です。
まず、私たちがより地域を好きになり、広く魅力を発信する
次に、地域とつながり、魅力に触れてもらう
そして、この地域を好きになり、応援してくれる
この好循環が持続可能な地域の創造につながります。
~人と地域とのつながりが育む郷土愛が将来の担い手を創造する~
持続可能な地域づくりを目指すなかで、この地域で暮らし育つ子供は、将来の地域の担い手となる貴重な存在です。就学や就業で市外、県外に出たとしても、地元で暮らしたいと思う郷土愛や帰心を、日々の暮らしのなかから醸成していくことが、地域の担い手育成にとって、とても重要な要素となります。
それには、地域自体の賑わいや、暮らしやすい環境が整備された地域であることはもちろん、自分の将来に希望が持てるかっこいい大人がいる地域であることも重要だと私は考えます。賑わい、暮らしやすい地域でなければ、人は寄り付きません。また、自分たちもこうなりたいと思ってもらえるような、仕事や家庭、地元のために、かっこよく、楽しく、真剣に行動している姿を、私たち地域の大人が見せていくことも大切です。
そして、子供たちには、普段の暮らしにおける地域や人とのつながりから、地域の良さを実感することはもちろん、楽しさや大変さといった付加価値のついた地域ならではの心に残る経験を通じて、自分の暮らす地域をさらに好きになってもらいたい。そのことが子供たち一人ひとりの郷土愛の醸成につながり、地域のために行動できる担い手への成長につながると信じています。
地域が魅せ、大人が魅せて、経験が育む郷土愛が地域の明るい未来につながります。
~歴史と伝統、文化を後世に伝える持続可能な伝統行事~
地域に存在する伝統行事というのは、歴史や文化としての重要な側面を持ち、そこに住む人々にとって大切な存在であることはもちろん、故郷を離れている人にとっても、その時季になると地元に想いを馳せるとても大切な「心の拠り所」になっているのではないでしょうか。それは小さい頃の在りし日の思い出かもしれない。携わったことによる思い入れかもしれない。地域で行われる一つひとつの伝統行事が、人の心のどこかに地元を想う気持ちが根付く、とても大切な存在です。
ところが昨今、様々な地域で歴史ある伝統行事がリスク回避や資金不足、担い手不足によって縮小や廃止される例が散見されます。これらは私たちの地域にとっても、決して対岸の火事などではなく、常に意識しておかなければならない課題となっています。
だからこそ、伝統行事の廃止や縮小は、歴史や文化を伝える役割が失われるということだけでなく、地域と人とをつなぐ大切な想いも希薄になってしまうということを、今一度私たちがしっかりと認識することが必要です。
その上で、この伝統や文化の存在意義を見つめ直し、地域の担い手である私たちが本質的な課題と向き合い、この大切な歴史と伝統、文化を後世に残していかなければなりません。更なる付加価値の模索、様々なステークホルダーとの協働、市民を巻き込んだ持続可能で愛される伝統行事が郷土愛を育み、市民が地域を想う明るい地域の未来につながります。
~スポーツが育む活気ある地域の未来~
現在、様々な技術の進歩による家事や仕事の効率化や、交通手段の発達などにより体を動かす量、いわゆる身体活動量は低下し、子供たちの部活動の制限や、ライフスタイルの変化によるスポーツや運動の機会自体も減少しています。そのなかにあって基礎体力の低下や、生活習慣病リスクの増加など、身体活動量の減少やスポーツや運動の機会の減少に伴う影響がいたるところに散見されます。
また、スポーツや運動には、集中力や課題解決能力の向上など競技スポーツとしての側面だけでなく、体を動かすことによる、体力や基礎代謝の向上、ストレス解消、ダイエットなどの直接的な影響や、コミュニケーション能力の向上、人格形成にも大きな影響を与えるなど、多くの好影響を人々に与えてくれます。
私たちの住み暮らすこの地域が明るく活発な地域になっていく上でも、まずは一人ひとりの心や体の健康づくりは欠かせません。それには、スポーツや運動の価値を再認識し、自分のライフスタイルに合わせて取り入れていくことが重要です。
人生100年時代といわれるこの時代、一人ひとりの意識変革による行動変容が心や体の健康へつながり、健康で活発な人財の増加が、明るく活気溢れる地域の未来につながります。
~積極的な行動が学びや交流を通じた自身の成長につながる~
花巻青年会議所という組織は、魅力ある人財に溢れ、その人財が助け合い、切磋琢磨し、花巻の明るい未来のために、運動や日々の活動を続けている団体です。だからこそ私はこの花巻青年会議所のメンバーには、もっと積極的に、もっと能動的に動く人財になってほしいと思っています。たとえ用意されている機会があったとしても、自らがそれを掴みに行かないのであれば、どんな機会が提供されても、自身に活かすことはできません。まずはどんなことにでも一歩踏み出す勇気をもって、役職や役割と向き合い、楽しく真剣に取り組む。たとえ失敗しても、支え助けてくれる仲間が必ずいます。まずはこの「行動する」ことが重要です。
そして、自分が支え助けられ成し遂げた経験を、次はほかの仲間たちのために活かしてもらいたい。自分の成長が誰かの成長につながり、個人の成長が組織の成長となり、新しいステージでの機会が個人にまた提供される。これが個人と組織の成長の好循環となり、持続可能な組織の基盤となります。
また、青年会議所には花巻での活動以外にも、3大大会をはじめとする各種大会、出向や他の青年会議所の仲間との交流の機会、いたるところに学びや成長、交流の機会が用意されています。
一人ひとりの積極的、能動的な姿勢が、新たな経験や学びの場とつながり、真剣に向き合う姿勢が、自分自身を一回りも二回りも大きく成長させる。地域を想い、この姿勢を貫くことが、地域へより良い影響を与える地域の担い手への成長につながります。
~集める組織から集まる組織へ~
花巻青年会議所には、会社の経営層から一般社員、公務員や個人事業主など多種多様な人財が集まり、日々活動しています。近年では女性会員も増加し、より多角的な視点を持って事業構築ができる組織となってきています。また、会員数の増加に伴い、事業の規模も大きくなり、幅広い運動も展開できる組織となっています。
40歳で卒業を迎えるこの組織が、地域の明るい社会の実現のために運動を進め、地域のリーダーを生み出し続ける組織であるために、一人でも多くの仲間を迎え入れていくことが必要です。私たちの運動や理念、日々の活動に共感し、地域の担い手として花巻青年会議所という学び舎で活躍してもらえるよう、会員拡大を進めて行かなければなりません。
その上で、組織や事業の情報や日々の活動が開かれたものになることはもちろん、この組織の理念や想いが伝わり、共感を得る広報の重要性も年々増していると感じています。戦略を持った広報と誤解のない正確な情報の伝達、想いの伝播がこの組織を人が集まる組織へ昇華させます。
私は2018年、先輩に誘われるがまま花巻青年会議所に入会しました。初めは、会議や打合せが多く、それに費やす時間もなんと長い組織なんだろうと思っていました。それでも、事業に来てくれた地域の人々の笑顔や、その事業の成功のために真剣に向き合う先輩の姿に魅せられていたことを覚えています。
役職を引き受けるようになってからは、考え方の違いや、効率化を求め先輩とぶつかることもしばしばありました。それでも、そんな自分と真剣に向き合ってくれ、引き上げてくれる多くの先輩のおかげで、少しずつ成長出来てきたのではないかと思っています。
多くの先輩は卒業してしまいましたが、今でも、会えば「頑張ってるか」「頑張ってな」と声をかけていただき、その度にもう少し、もう少しだけ頑張ってみようとここまで走り続けてきました。
今では、同い年の仲間や後輩も増え、私自身、教わる立場から伝えていく立場となり、先輩からの学びや姿勢をしっかりと、人と向き合い伝えていきたいと考えながら、日々、活動を続けています。
そして、私は今、「この組織の中心は『人』なんだなぁ」と改めて実感しています。「より良い地域の未来のため」という同じ目標を持った仲間が集い、切磋琢磨し、時にぶつかり、協力し合う。友達でもなく、家族でも職場の同僚や先輩でもない。それでも、誰かが自分を見ていてくれる、人が人を想い、人が人を成長させる。そんな組織ではないかと思えるようなりました。
先輩から受け継いだ歴史と伝統を重んじ、誇りを胸に「最高な仲間」と共に、「明るい豊かな社会の実現」に向かって2025年を走り抜けていきます。
一般社団法人 花巻青年会議所
第69代理事長 黑須 修一