理事長所信

理事長所信


笑顔
笑顔でいること。
幸せは笑顔に集まってくるものであり、
安心感を与え自然と温かい関係を築く。
周囲の人、そして地域をも、
より良い変化をもたらす力をもっている。
一日一生
笑顔を紡いでいこう。


はじめに

新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延を起因として、社会システムの在り方自体に不可逆的な変革をもたらし、普段から重大な場面を想定した準備を行う重要性とともに、日常の便利さが安心に繋がる大切さと改めて認識されました。感染拡大以前の状態に戻るのでなく、今の常識 に、ニュー ・ ノーマルが取って代わり、人々の生き方や働き方の価値観に変化が生まれたこの時代を、如何にして切り開いていくかが問われています。花巻では働く場と消費行動の減少、人口減少や少子高齢化など、山積する課題があります。地域が意欲と熱意を持ち、強みや魅力を活かした取り組みを自主的か つ主体的に行わなければなりません。 誇りあるまち花巻の創造に向け、私達が未来も生き続けること、そして次の世代に未来を残す存在であることをしっかりと認識する必要があるのです。未来を変えるべき今、大きな社会変化の中で人と地域を結ぶ笑顔の力を生みだし、激動の時代を切り開き、誰一人取り残さないまち花巻を創造していかなくてはならないのです。

 

花巻に未来の価値を生み出す

2015年9月、持続可能な世界を実現するために 国連で採択されたSDGs。
自治体、経済界のみならず教育の現場でも取り上げられるなど、SDGsに対する取り組みがひとつのトレンドとなっており、如何にその取り組みを継続し発展させていくのかが重要です。まち・ひと・しごとのあらゆる分野において、技術の力をテコとして、生活の利便性と満足度を高め、課題に向き合うことが、持続可能な社会を思い描き、未来を形にするのに有効であり、地域の魅力を一層向上させることができます。そして、自ら解決すべき課題を見出し、価値を創造していく力が求められ様々な情報を組み合わせることで、新たな 価値をつくるのです。技術は自動化による人手不足の解消や、地理的、時間的制約を克服することが可能で、利便性の高い生活を実現し、地域における様々なコミュニティの活力も高めることができます。どの地域にも技術は活用のチャンスがあり、新たな価値の挑戦とそれを形にする力を掛け戦略的に活用することで、持続可能な未来を創造していかなければならないのです。

※エスディージーズ SDGs:Sustainable Development Goals
環境・社会・経済と広範な課題解決に統合的に取り組み多様性と包摂性のある持続可能な社会の実現を目指した世界共通の目標

 

豊かな創造性を生む花巻へ

日本における女性の社会への参画は増加傾向ではあるものの、世界的に見ると低い水準であり、その差は拡大しているのが現状です。花巻市においても、固定的な性別役割分担意識に関して偏見が根強く、現状では男女の置かれた社会的状況に、個人の能力や努力によらない格差があることは否めません。特に働き手不足が深刻な一方で、専門知識や経験を備え、働く意欲を有していてもライフスタイルなどに関する様々な制約から希望どおりの働き方がかなわない女性も多数存在しています。これまでの延長線上の取り組みを超えた効果的な管理職層の理解促進と働く人の状況や能力に応じた性別にとらわれない人材マネジメント力の強化が必要なのです。男女平等における実質的な機会の提供から、多様な価値観を持った人財がフラットに意見を交わし、それが化学反応やイノベーションを起こすことで価値が生まれます。女性の学びの機会を充実し、社会に求められる多様な選択肢を広げるための意識を改革することで地域社会活動への起点となるのです 。女性の発想や能力の活用は、組織や運営の活性化と競争力の強化などにも寄与し、ジェンダー・ギャップを縮小することで、社会の重要なアクターとして多様な人財が活躍できる環境を構築し、能力を十分に発揮できる社会へと進化するのです。

 

健康を支え、守るための社会環境の整備

人は、人生が有限であるという事実を忘れがちです。
WHOでは、「健康」を「肉体的、精神的及び社会的に、完全に良好な状態にあること」と定義しています。
日本は、先進国の中でも自殺率が非常に高く、実際に年間約2万人の方が自ら命を絶っています。中でも、私たちが住む岩手県は自殺率が高い水準で長年続き、市内でひきこもりと思われる方も多く、うつ病の患者が増加傾向にあるなど、心の健康を害している人が多く見受けられ ます。様々な悩みにより、心理的に追い込まれた結果、精神疾患を発症してしまうなど、メンタルヘルスに関して人々の理解が深まっておらず、生きることの包括的な支援が必要とされています。生涯を通して、生活の質を維持するためには、健康であることが重要であり、普段はあまり意識することのない「生」と「死」について考えてみることで、日常生活における健康の大切さに改めて気づくことに繋がります。あらゆる世代が健やかな暮らしを支える良好な社会環境を構築するには、生活習慣病の予防、社会生活を営むために必要な機能の維持や向上は基より、心の健康を考え、メンタルヘルスケア対策の充実が必要です。地域における心と身体の健康づくりや生きる力を高め、市民一人ひとりがかけがえのない命を大切に安心して暮らすことができる社会を実現していかなければいけません。

※WHO:世界保健機関(人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関)

 

子ども達の未来のために

Society5.0の実現へ向け社会の在り方そのものが非連続的と言えるほど大きく変わり始め、先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、これまで人間でなければ担えないと考えられてきた分野に及ぶイノベーションの連鎖は、私たちの社会や生き方そのものを大きく変えようとしています。将来AIやロボットによって多くの仕事が代替され、人間の負担が軽減されていくことが予想される一方で、多くの失業者が生まれるのではないかという議論もあります。 未来を担う子ども達を取り巻く環境も大きく変化し 、時代の変化に必要とされる能力の育成が求められるのです。 多くの 経験や体験でしか掴めない知恵と心の置き所を身につけ、主体的に判断し学ぶことで、課題解決する資質や能力が育成されます。真剣で濃密な対人関係の言葉によらないコミュニケーションから相手の気持ちを想像する力や表情の奥を推察する力が身につきます。将来の可能性を引き出せるような機会と成長の支援から、自らの可能性を信じて夢に挑戦できる社会を実現することに繋がり、課題を見付け、自ら学び、自ら考え、濃密な対人関係の経験から、主体的に判断する課題解決能力を身につけた多彩な能力に長ける子ども達が新しい未来を築いていきます。

 

活力ある花巻の実現

2006年に1市3町が合併した花巻市は、美しい自然や豊かな文化、食、再生可能資源エネルギーなど、それぞれ固有の魅力と地域資源をもち、地域が将来にわたり成長力を確保するには、魅力と資源を活かした持続可能なまちづくりが必要となります。 住み続けたいと思える地域をつくるために、都市機能、日常生活サービス機能の維持や確保とともに、地域資源を最大限に活かし、付加価値を持たせ、新たな価値を創造するのです。 文化や歴史などを活かし、地域の魅力を育むことでふるさとに愛着やエンゲージメントが高まるのです。 地域課題の解決に取り組み活性化や持続的な発展を図るためには、 域内外にかかわらず、一人ひとりが地域のまちづくりに担い手として積極的に参画し、人がその土地に出会い、繋がり、何かを感じて、幾度も足を運ぶように当事者の最大化を図ります。 関係人口の創出や拡大は、地域の活力を発展させ、将来的な地方移住の増加を見据えた地域のファンをつくることに繋がります。そして、まちの魅力や活力の維持、向上を通じた持続可能なまちづくりの実現と定着を図るため、活動を行う中でのノウハウを、これから活動に取り組もうとする他団体にも水平展開していかなければいけません。 様々なステークホルダーとの連携から、関係者が対話することにより地域全体が目指す姿と各々の生活や事業の目的が共有され、共に達成することを目指した多様な主体による協働から活力ある花巻を実現します。

 

地域を知ることで出来るまちづくり

組織や会員を取り巻く社会環境や人々の社会的価値観が大きく変化している中、近年、多くの会員を迎え、情熱をもって会員が活動しています。私たちは、さらに人間力を磨きこの地域の未来を少しでもより良くしたいと考え、行動する必要があります。何を学び、どのように学ぶか、そして前に踏み出す力と考え抜く力を組織の力として、どう活躍するかを刻々と変化する社会に対応するため、今までの知識を振り返り、現状を認識し新たな価値を生み出し続ける人財が求められます。多様化する課題やニーズに応えられる組織として、会員一人ひとりが楽しさと充実感を味わいながら活動し、会員拡大における推進力を高め全会員が一丸となり取り組める体制を構築します。未来を生み出すためにとくにも女性と若い世代の会員拡大は組織に新たな価値を生みます。また会員を受け入れる組織体制も変化が必要とされ、現状と今後の組織運営の在り方を考える機会として、時代に即したより良い組織へと改革を実現する必要があります。そして、改めて会員が地域をしっかりと見つめ、知ることから素晴らしいところを再確認し、このまちがどのような形で成長を遂げ、これから先どのように成長していくのかを考え、地域の抱える課題を理解しなければなりません。柔軟で誰もが参加しやすい多様性ある組織へ進化し、個々の資質を向上させ地域に住む私たち青年が率先して地域に関わり、持続可能な社会の実現へ繋げるのです。

 

組織のブランドを高める広報

ソーシャルメディアが普及したことで、誰でも個人の意見や信念を世界中に発信することができ、あらゆる情報が流通する時代となった今、魅力を伝えファンを増やすことにより組織の成長を促進する好機と捉えることができます。社会の期待に応え、効果的な運動を展開するには、サステナビリティや透明性、公正な組織運営を明確にし、組織全体が足並みを揃え、地域から信頼されるランドとなることが必要です。地域において力強くリーダーシップを発揮し、組織が持つ独自の色を発信することで地域の心を動かし、あらゆるステークホルダーとの繋がりを強化します。また、インナーブランディングを実施することは、組織力の向上と組織にブランドと言う価値観を根付かせ会員のエンゲージメントを高めます。運動に対するパフォーマンスを向上させ、ブランド価値をより高めることが、社会に活気を与える推進力となるのです。情報が溢れかえる現代において、ブランドは組織を着飾るものではなく、会員と組織の「感情」を発信することが地域の心に触れ、その積み重ねが興味へと変わり、地域とより良い関係が構築された時、組織の実行力となるのです。

 

おわりに

真面目に、そして楽しく、本気の「遊び」
人は、誰しも物事に対し夢中になる時があります。戦っている満足感に満ち溢れ、真剣に取り組み、決めたことを徹底的に極め、鉄を鍛えるように焼きを入れる。この経験を経ることで強さを身につけます。そして、刃こぼれしない人間へと成長できるのです。もう一つ必要なことは「遊びきる」ということ。手を抜かずに心底楽しむ。多少無理をしてでも余裕を作り“遊び”を持たせるのです。遊びがあればこそ、そこに独創的な発想力が身につき、強靭な力が宿るのだと感じます。成長した自分からもまた遊びが生まれ、人間の奥行ある器は真面目さと遊び、この両極に如何に振り切れるかによってつくられると思います。これは私が青年会議所に入会し強く感じたことです。人の笑顔のために、強く優しい心を持った人間へ成長したいと感じました。人と人との繋がりが大切にされ、そこには様々な人の笑顔があったのです。多くの機会、そこで共に活動する多くの仲間との出逢いに魅力を感じながら活動し、一人の力は微力でも多くの仲間が集まれば想像を超えるほどの力を発揮できることを私は青年会議所で身を持って知ることができました。心で繋がっている仲間や先輩がいて、この各々が刺激しあえる環境がここにはあるのです。自分の成長を信じて、自分自身に負荷をかけることが自身の成長、しいてはやれる人だけ、やりたい人だけに任せるのではなく、全員でやることで私たちの活動の未来に繋がるはずです。どんな時代でもどんな環境でも自分の誇りを失わず、先人たちの想いを胸に時代に即した組織となり、笑顔を生み、守るために生き、後世に残せる存在として、新たな価値を創造し花巻青年会議所は明るい豊かな社会の実現のためさらなるステージへ挑戦します。

 

公益社団法人 花巻青年会議所
第65代理事長 松田 治樹

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